感じたこと(理科系)

1.アポロ

 15年程前、会社の勤続20年の褒賞休暇を利用して、家内とアメリカを旅行しました。アメリカは初めてでした。
 印象は「ただただ大きい」でした。

 ワシントンではホワイトハウスや議事堂の他、スミソニアン航空宇宙博物館に行きました。ここには、ライト兄弟の
フライヤー号、ジェミニ、アポロ等の宇宙船等実物が展示されており、零戦もあります。もちろん、どれも実物です。
 宇宙船は外側が焼けていて、たしかに大気の摩擦熱を浴びてきたと実感出き、迫力満点。たいして大きくないだ
ろうとは想像していましたが、予想以上に小さいのに驚きました。1人乗りの宇宙船は座る場所しかなく、立てない。
 こんな狭い所で座ったまま、極度の緊張に耐えつつ、宇宙に行ったのです。飛行機に乗る時、一抹の不安を感じ
ますが、あんなものではないでしょう。発射時は下に何百トンという爆薬。コントロールされた爆発を続けているとは
言え、間違えば一瞬でバラバラ。そう、チャレンジャーのように。宇宙では薄い壁の外は真空の死の世界。
 帰還時は燃え尽きる恐怖、そう、コロンビアのように。他にも、角度不良で弾き飛ばされ、帰還不能となる恐怖。
 さぞや恐怖であったろうと思います。

 さて、話はアポロ11号宇宙船の中を覗いたときのこと。パネルに沢山のトグルスイッチが並んでいるのが見えま
した。トグルスイッチって今ではあまり見掛けませんが、昔、オーディオ装置等に良く使われていました。棒を上下
(または左右)に倒すと、パチリと音がして切り替わる長さ3cm程の大きなスイッチです。トグルスイッチ以外、液晶
パネルはおろか、CRTディスプレイも無し。そのはずで、アポロは1960年代のプロジェクトですが、液晶パネルも
CRTディスプレイも70年代以降の開発です。

 コンピュータは搭載されていました。しかし、その性能は現在のファミコン以下だったと言われています。そして、
その入力はトグルスイッチの操作。これを誤り無く操作出来るよう猛訓練でカバーしたのだと思います。
 そして、こんなシステムで、月に行ったのです。

 今我々の周りは、どうでしょうか。

 そう言えば記憶にあります。アポロ11号の打上げが迫った時、NHKテレビで中継をしていたアナウンサーが、
  「アポロ計画のために画期的な電子部品が開発されました。この5円玉程度の素子の中に、トランジスタが
   20個以上集積されています。ICと呼ばれています。」

 来年初頭に発売されるインテルの最新CPUの内蔵トランジスタは何と4億1千万。

 38年前。遠い昔になりました。



2.食糧問題/エネルギー問題/環境問題 究極の解決法

 半分SFの話です。たまには世知辛い現実から離れて壮大な未来の夢の話もいいのではないでしょうか。
 25世紀とか30世紀の世界を見てみたいものです。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ではないけど、タイムマシン
 早く発明して下さい。ブラウン博士。

 さて、「光合成」の原理を知りたいと、Webを検索していたら、1つの論文を見つけました。「人工光合成」の研究が
進んでいるとのことです。地球の救世主になるかも知れないと。この他にもいっぱい検索ヒットします。

  (1)先ず、水を太陽の光エネルギーを使って水素と酸素に分解。
  (2)水素を燃料電池や内燃機関、ジェット/ロケットエンジンでエネルギー源として利用。
  (3)二酸化炭素と水素と太陽の光エネルギーを利用して、単糖を合成。余剰の酸素を大気中に放出。
  (4)単糖から食料を合成。

 原理的には、水1リットル(1kg)、二酸化炭素1.2kリットル(2.4kg)と、6,300kカロリーの太陽エネルギーから
1.6kgの単糖が出来、それが6,300kカロリー(成人3日分)の食料になる。植物のやっている光合成を工業として
実現するわけで、これが出来れば、食糧問題もエネルギー問題も環境問題も一挙に解決。
 (1)は実験室では成功しているとのこと。(2)は既に実用段階です。(3)(4)は容易なことではありませんが、まあ、
数百年もあれば、実現出来るでしょう。

 問題は効率で、太陽エネルギーの変換効率は現状では(1)の段階だけでも0.03%とのことで、稲の2%、藍藻類
の4%に遠く及ばない。未だ稲を作った方が、つまり「農業」をやった方が100倍も高効率と言うことです。
「農業」を超え、その10倍も効率を上げられれば、夢の世界が実現するでしょう。水が燃料の車とか、携帯用食料
製造機とか・・・。

 水と二酸化炭素と太陽エネルギーだけで、生存に必要な食料とエネルギーを作る。廃棄物は酸素。やっかいもの
と思われている二酸化炭素はここでは貴重な資源。その内に石灰岩から食料を作るようになるかも知れません。
 でも、その時、酸素が増えすぎて酸化公害とか、二酸化炭素が不足して、地球寒冷化問題が起きているかも。
 いずれにしても人類がいる限り、バランスが崩れて、「環境問題」は発生するのかも知れません。

 想いを巡らしながら気が付いたことは、結局私たち生体の活動エネルギーも元は太陽エネルギーと言うことです。
 宇宙の初めに出来た元素は水素だけ。星の核融合によりヘリウムから鉄までの元素が出来、超新星爆発により
それより重い元素が出来た。これら物質の結合で複雑な物質、有機体が出来、やがて生命が生まれた。
 生命の内、植物は上記のように水と二酸化炭素と太陽エネルギーで光合成を行って酸素と栄養を作り、人間を
含む動物はその酸素と栄養でエネルギーを得て成長し活動する。即ち、我々の身体は先代の太陽が作り出した
物質を使って現太陽が作り、現太陽のエネルギーによって我々は生まれ育ち、活動している。体温も太陽エネル
ギーの変形だし、人力、馬力、水力、風力、潮力、全て元は現太陽のエネルギー。石油、石炭は現太陽の大昔の
エネルギーの化石。核も先代太陽のエネルギーから。まさに我々は「星の子供」と言うことですね。



3.究極の環境破壊

  ニ酸化炭素が急激に増加しています。このまま行けば、北極、南極の氷が解け、陸が減少し、砂漠が増え、
食料生産が減ってきて、大変なことになるでしょう。先進国も発展途上国もエゴを捨てて協力し、何とかしなければ
なりません。ですが、ここで述べる「環境破壊」は、そんな程度のものではない、地球環境そのものが滅びる凄まじ
いものです。

 恐竜の絶滅原因の有力説に隕石衝突説がありますが、最近の研究では衝突後数時間で滅んでしまったと言う
説が登場しています。以前にシミュレーションをテレビで見ました。400km程度の隕石が衝突すると、水爆1億個
分のエネルギーが放出され、地殻がめくれ上がる地殻津波が発生、直径数千キロのクレータが出来ます。
 そしてクレータの中で岩石が熱せられ、数千度の蒸気になってクレータ外に広がり、地球を覆ってしまいます。
 海の水は全て蒸発、地表は数百度のドロドロの溶けた岩石で覆われます。植物も動物も地表には逃げる所が無く
絶滅状態に。まさに地球誕生時の光景が再来します。「1999年の7の月、恐怖の大王がやって来て人類は滅亡
する」と言うノストラダムスの大予言の世界。「アルマゲドン」です。
  
 ただ一つ生命が生き延びられる世界は地下。地殻津波に会わなかった所で、300m程度の深さであれば、温度は
蛋白質が壊れる60℃までは上がらないそうです。1000年程度の後、地表は冷え、蒸発していた海の水分が凄まじ
い雨となって降り注ぎ、海が復活。地下で生き延びた生命、多分細菌か良くて虫でしょうが、そこから進化のやり直し
が始まります。人類は再び現れるか? これが究極の環境破壊です。

 上記のテレビで放映された映像は、You Tubeで観ることが出来ます。URLは、

  http://www.youtube.com/watch?v=H4WQIqUjVGc&mode=related&search=

 さて、これが起こる確率ですが、地球の歴史の中で、これまで4回あったと言います。その度に生命はほぼ全滅の
打撃を受け、再進化を遂げて来ました。

 まあ、人類の生存中は大丈夫でしょう。ただ怖いのは、人類がやがて、そう、あと1,000年もしたら、小惑星を拾っ
てきて、地球にぶつける技術を開発するのではないかと言うことです。原理は分かっているのですから、1,000年も
あれば、反物質エンジンとか、画期的な推進エネルギーを獲得するかも知れません。まあ、いくら何でもそんなことを
するほど愚かとも思えませんが・・・



4.人生1ペタバイト

 記憶装置が凄まじい勢いで大容量化されています。PC用として既に1TB(テラバイト)のハードディスクが発売され
ています。テラとは一般に聞きなれない単位ですが、1000,000,000,000のことです。
 メインメモリさえ、数GB(ギガバイト)位になってきました。

 我々が会社に入った頃は、メインフレームのメモリでも、64kBなんてのがありました。まあ、過去の話は爺臭くなり
ますから、未来の話をしましょう。容量が大きくなるとどうなって行くかです。

 DVDは4.7GBで、5.1cHサラウンド音声を伴って、2時間収録が出来ます。もし、人が一生で眺めた風景を全部
録画したらどの位のメモリがあれば足りるでしょうか。

 人生80年とします。時間に直すと70万時間です。1時間2.35GBとすれば、1,645TBとなります。1/3は寝て
います。夢を見るかもしれませんが、無視しましょう。すると必要な容量は1,000TBとなります。「テラ」の上の新しい
単位で言えば、1PB(ペタバイト)です。この容量があれば、DVD並の画質音質で、全て記録出来ることになります。

 実現するには、今は1TB(テラバイト)のハードディスクを1,000台使います。1,000台も・・・と思うなかれ。今でさえ
たったの1,000台で出来るのです。たちまち、100台になり、10台になり、となって行くでしょう。

 記録が夢ではなくなって来ているのですが、さて、その記録の扱いは? 4倍速で早送りで見ても20年はかかるし・・・。

               

5.永遠の未来。そのさらに先                                  

  「あなたを永遠に愛し続けます・・・」

  広い世界。今日もどこかでこんなセリフが囁かれているのでしょう。いいですねえ。そういう言葉には縁が
  無かったなあ・・・。

  ロマンチックな書き出しですが、無粋な質問をします。この場合の「永遠」とはいつまででしょうか。
  「死ぬまで」かな? 100年かな? 1万年? 1億年?  最近の離婚の状況を見ていると3ヶ月だったりして。
  まあ、「永遠」と言うと普通想像するのは「地球がある限り」つまり50億年ってところでしょうか。

  今生れた赤ちゃんでも未来は約100年しかありませんし、人類そのものの寿命も1億年はないでしょう。
  しかし、生命はこれまでそうであったように形を変えながら、よほどのことが無い限り、地球が生存に適した星
  である限り、生き続けていくと思います。ですから、生命にとって「永遠の未来」と言えば50億年後と言っていい
  のではないでしょうか。

  さて、それではその先には何があるのでしょうか・・・。

  下図はネット上の百科辞典「ウィキペディア」(本当に便利になりました)の記事を基に書いた、10の100乗年
  辺りまでの大きな出来事(現在有力な学説)です。

  10の100乗年とは、直接書くと、

  10,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,
  000,000,000,000,000,000,000,000年のこと。暇ですね、私も。

  宇宙が生れて14,500,000,000年ですから途方もない長さ。

  これだけの時間だと、どんなに些細な変化でも、必ず結果に行き着いてしまいます。

  詳細は「ウィキペディア」を読んでください。最終的には宇宙の温度が限りなく絶対0度(0゜K=−273.15℃)
  に近くなって星も物質もなにもかも無くなり、光子だけになってしまうそうです。これをビッグ・フリーズ(でかい
  冷凍)と呼ぶのだそうです。



  星々の輝きを始め、今起きている森羅万象は、宇宙自体も今が青春であると言えるのかもしれませんね。



To be continued

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