長谷雄草紙
絵巻物なので、ストーリーは右から左に進みます。一旦右端に行き、
左へスクロールして見て下さい。全体的には下へ進んで下さい。
参内のため正装した長谷雄に、突然入来した男(実は朱雀門に
済む鬼)が、長谷雄の屋敷で双六の挑戦口上を述べています。
参内のため長谷雄が乗る八葉車(牛車) 殿は何をなさっているのかといぶかる男
長谷雄邸警固の武士 長谷雄の従者と、従者が騎乗する馬
男に導かれてただ一人長谷雄は進みます。生き生きとした市井の様子が描かれています。
朱雀門に到着です。基礎部分しか描かれていませんが、壮大さが偲ばれます。
朱雀門の楼上で対戦する長谷雄と男。男は鬼の姿になっています。双六と言っても、勿論今の
双六とは異なります。白と黒の碁石のようなものが並んでおり、筒のようなものを打付けています。
ピシッパシッ、って音が聞こえて来るようです。
男が女を長谷雄のもとに連れてきました。小さく書かれた男の姿は勝負に負けた卑屈さを表現しているのだそうです。
女は十二単で長い黒髪。顔は分かりません。見る者の想像に任せているのだと思います。確かに見る者それぞれが
持つ美女のイメージを裏切らない。実に巧みな手法です。
完
この物語のクライマックス。百日の約束を八十日で破ったために女は溶けて水となって流れてしまいます。
部屋から濡れ縁、そして庭へ大量の水が流れています。長谷雄の衝撃の表情・・・。見事な表現です。
遠くから遣水が流れ、せせらぎの音が聞こえるよう。蔀格子が下ろされて、場面は夜の設定です。
三ヶ月後、内裏から八葉車で退勤途中の長谷雄のもとに鬼が現れ、約束を違えた長谷雄をなじります。
驚いた長谷雄は一心不乱に北野天神に助けを求めます。すると天から大きな声
「不都合の奴じゃ、とっとと立ち去りおろうぞ」
これを聞いた鬼はたちまち逃げ出してしまいました。
むしろ恐怖の面持ちで逃げて行く鬼
聴き耳を立てる男、従者でしょうか・・・